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軍事とは民事(Civil affers)の対概念であり外交や経済などと並ぶ主要な行政機能の一つである。軍事政策は軍隊を維持管理して軍事力を準備する政策である。[1]これを研究対象とする学問に軍事学がある。しかしながら軍事という言葉自体は多用な領域を包括する曖昧な単語である。
社会においては物理的な強制力である暴力(Violence)または実力(Force)が政治紛争や経済紛争を解決する手段として使用される場合がある。例えば戦争はその最たるものであり、勃発した場合には社会全体の生存、財産の安全、自由などの社会の基本的な要素が危険にさらされることとなる。国防とはこのような事態に対処するための国家的な行政機能である。具体的には志願または徴集から得られる人員、軍事における専門的な知識や技術、武器や兵器などの装備などから構成され、作戦のために組織化された機能集団、軍隊を編制し、運用する。
軍事作戦とは軍隊が行動するための指揮などの業務を指すが、厳密には作戦行動の指揮統率に関することを意味する。ここでは戦争・戦闘に関すること一般を記述する。
戦争においては戦闘、破壊、混乱、戒厳、動員などさまざまな非日常的な現象が同時に発生する。その影響の範囲や複雑性はさまざまな社会現象の中でも特に分析が難しい主題の一つである。しかしカール・フォン・クラウゼヴィッツは
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に戦争をなぞらえた上で、戦争とは「敵を強制してわれわれの意志を遂行させるために用いられる暴力行為である」と説明しようとした。確かに戦争はまず敵を自己の権力の下に支配しようとする軍事力の行使として位置づけることができる。そして戦争では暴力は極大化され、軍事的な合理性の下であらゆる事柄が徹底的に合理化され、軍事力を最大限に発揮できるようにされる。
ただし戦争は単に軍事において完結する現象ではない。戦争にはその行為を行わせしめるだけの目的が伴う。つまり戦争の発生には必ず外交的または経済的、心理的な情勢が起因しており、あらゆる戦争は政治的な目的を究極的には達成しようと指導される。戦争がどのような原因によって勃発するのかについては人間の本性に求める学説から国際秩序の形態に求める学説までさまざまであり、最も重要な論点の一つである。ただし攻撃性などの
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の本性を原因とする主張は少数派であり、多くは特定の国際関係または社会の状況によって発生させられる条件説を支持している。
また戦争の過程でもさまざまな社会的、経済的、心理的な現象が同時的に進行する。戦争が社会にもたらすさまざまな影響はとても要約できるものではないが、あらゆる分野で軍事化が進むということは言える。政治体制は緊急事態に対処するために首相の権限が強化され、経済体制は軍事作戦の兵站を支えるための生産に統制される。盛んな心理作戦が自国民と敵国民に対して行われ、防諜のために情報は統制される。予備役が動員され、あらゆる交通手段が徴発の対象となる。国際社会では激しい諜報と謀略が行われ、関係諸国は戦争の勝敗に介入すべきかどうかの政治決断を迫られる。敵と味方で国際秩序が大きく二分され、同盟や中立といった外交政策が国家の存亡を左右する。
戦争の政治的、軍事的、外交的な過程も非常に興味深い。戦争は外交政策によって限定的な戦いになるのか、または全面的な戦いになるのかが異なってくる。敵国との外交交渉が戦争と並行すればより少ない破壊で政治目的を達成しうる可能性が出てくるからである。軍事的な観点から戦争を見た場合に、対テロ作戦や対反乱作戦など断続的な武力行使を伴う低強度紛争、限定戦争などの限定的な武力行使を伴う中強度紛争、総力戦と呼ばれる全面的な武力行使を伴う高強度紛争の三つの段階がしばしば述べられる。また具体的な戦争の形態も従来型の陸上・海上戦力だけでなく、航空戦力や宇宙兵器の登場よって戦争の形態が平面的なものから
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的なものへ時代とともに変化している。また核兵器とミサイルの技術発展は核戦争の危険と核抑止に基づいた冷戦をもたらした。さらに近年では内戦や国際テロリズムの危険性が指摘されるようになり、低強度紛争における戦争以外の
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作戦や平和維持活動なども行われるようになり、軍事力の多機能化が進んでいる。
作戦(Operations)とは軍事目標を達成するために計画的に実行される戦闘行動である。より厳密に述べると、作戦は戦闘行動だけではなく戦闘力を発揮するために行われるあらゆる行動を指す概念であり、戦争における軍事作戦だけではなく、より小規模な紛争事態、また平時における諸活動までをも意味する。ここでは主に戦闘行動を伴う軍事作戦を想定している。
作戦を実施することは戦略的な目標を達成するために与えられた戦闘力を運用することである。この技術は作戦術と呼ばれ、戦略的な状況において作戦を的確に位置づけ、与えられた戦闘力を戦術的に最も効果的に運用しようとする。成功した作戦にはいくつかの原則が共通して見られる。すなわち目的、主導、節約、機動、統一、警戒、奇襲、簡明、物量の原則である。また指揮官、士気の原則などを加える軍もあって一様ではないが、戦史での勝利にはこのような原則が導き出される。
作戦は一定の計画性に基づいて
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される。作戦計画の立案にはいくつかの段階がある。その最も初期の段階が状況判断である。状況判断は任務判断、地形判断、敵情判断から成り、我の目的と我が置かれている軍事的な状況を総合的に認識することである。十分な情報活動を基礎とした状況認識は意思決定を的確に支援することができる。状況判断に基づいて最も適切な作戦方針が模索される。ここで提案される作戦方針の全てを状況判断と組み合わせて研究し、最も優秀な作戦を採用することとなる。作戦の方針が定まればその方針を実行するために各下級部隊に命令が下される。命令を与える際には背景を踏まえた上で任務を明示し、それを達成するための戦力等を譲渡する。さらにその戦力に過不足がないかどうかを確認するなどの調整を行う。
作戦の形態には大きく分けて二種類に分けられる。敵を積極的に求めてこれを撃滅しようとする
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作戦、そして敵を待ち受けてから撃退しようとする防勢作戦の二種である。攻勢と防勢は作戦方針を定める際に極めて重要な決心となる。攻勢を採用した場合には戦いの主導権を獲得することが容易であるものの消耗が激しく、攻撃が失敗した際には逆襲を受ける恐れがある。一方防勢を採用した倍には整合的に地形や配置を利用して戦いやすいものの、戦いの主導権を失ってしまう恐れが強い。どちらを採用するのかは敵味方の状態だけではなく、戦略的な状況、地形の状況、兵站の状態などを総合的に考慮した上で決断しなければならない。
戦略(Strategy)の定義は容易には導き出せない。一般的には戦略は長期的、総合的な視点に基づいて目的を達成するために考案される行動計画である。戦略は元々は「将軍の術(STERATEGOS)」を語源に持ち、フランスの軍事学者マイゼロアによって考案された軍事学の概念であったが、現在では政治や経営の分野など意思決定を行うために盛んに使用されている。戦略の概念は意思決定の思考に最終的な目標と、長期的な計画性、総合的な視野の必要などを認識させてくれる。
戦略の枠組みは戦争の形態が総力戦へと移行し、また冷戦によって戦時と平時の区分が曖昧になったことから急速に拡大していった。ナポレオンは従来の戦術の概念に対してより大局的に戦争全体を概観する大戦術の概念を使用していたが、これは実質的には現在の戦略の考え方に似通っていたようであった。プロイセンの軍事学者クラウゼヴィッツによって戦略の概念が整理されると、本格的に軍事研究の分野での概念として定着していった。ただしこの頃の戦略は陸上の武力戦や短期間の決戦戦争の歴史的な軍事状況に影響を受けていたために、核抑止や革命戦争とは適合しないとフランスの将軍ボーフレは批判し、戦争にはもはや戦時と平時の区分はなく、戦略は軍事だけではなく外交や経済、思想や心理などの領域に渡って遂行されていると論じた。こうして従来の軍事的な戦略は現在では包括的な全体戦略となり、戦略の概念はより幅広い内容を含むものに昇華した。冷戦期における核戦力や外交の戦略、経済産業の戦略の発展は戦略の応用領域を拡大させ、また経営学でも経営戦略論としての研究領域が確立された。戦略の理論的な研究は近代以後においてはリデル・ハートの間接アプローチ戦略、毛沢東の革命理論、ドゥーエのエアパワー理論、マハンのシーパワー理論など幅広い拡大を見せている。