アメリア
生物兵器に対する最も有効な対応は、兵器として使用する可能性のある国家、組織に生物兵器を保有させないことである。そしてもし生物兵器が使用された場合には感染の拡大を防ぐため、患者の隔離と治療を行う必要がある。
生物兵器は従来より戦争で使用する兵器としての保有は生物兵器禁止条約で禁止されているが、実際のところそれが国際的に遵守されていたとは言い難い。
また研究目的で個人が保有することは多くの国で可能であったため、近年までテロリズムに対しては十分な対応ができていなかった。
生物兵器の大きな転換期となるのは1995年の地下鉄サリン事件で、この事件を受け、世界的に生物兵器の保有に関する法体制の整備が進んでいる。
特にアメリカは2001年に炭疽菌を使用したテロが発生しており、生物兵器の保有、使用に関する法整備はいち早く行われた。
日本ではオウム真理教による一連の事件により、化学兵器に関する法律は整備されたが、生物兵器については野放しの状態で、近年になってようやく生物兵器の所持に関する法律の整備に乗り出したところである。 自衛隊は対バイオハザードのための訓練もよく行う。
多くのウィルスや細菌は人から人への感染を起こすため、感染者の隔離が必要となる。
通常は患者を隔離し、患者と接触した人へのワクチン注射を行えば感染を防ぐことができるが、兵器として使用された場合多くの人が感染することになるため通常の隔離では対応しきれない。その為状況に応じて地区の隔離や最悪の場合その国への渡航を禁止し国まるごと隔離する必要がある。
炭疽菌は非常に取り扱いやすく、発芽するまでは各種薬品や紫外線などに対する耐性も非常に強い。
しかも肺に感染する肺炭疽にかかった場合には致死率が90%前後に達する。その為炭疽菌は従来より生物兵器の代表格とされており2001年には実際にアメリカでテロに使用され、死者を出している。日本でも1993年にオウム真理教が東京都江東区亀戸の新東京総本部(登記上の主たる事務所でもあった)で実際に噴霧している。死傷者こそ出さなかったものの悪臭が周辺に漂う騒動となった(亀戸異臭事件)。
自然界において炭疽菌への感染は炭疽菌が含まれる土壌などにふれることで感染することが一般的である。この場合炭疽菌は皮膚に感染(皮膚炭疽)するが、この皮膚炭疽は治療を行わなかった場合でも致死率は約20%、適切な治療を受ければ約1%まで下げることが可能で、それほど問題はない。
兵器として使用する場合は、皮膚炭疽では威力不足であるため、空気中に散布し、肺に感染させる必要があるが、エアロゾル化にはある程度の技術力が必要である。
炭疽菌に有効なワクチンは存在するが
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に手間がかかる。しかもそれでも1年ほどしか効果がないといわれ、弱いながらも副作用が発生する可能性も比較的高い。そのため一般的には使用されていない。
炭疽菌の兵器としての欠点は感染力が弱いことで、人から人へ感染することはない。
天然痘は1980年に撲滅がWHOから宣言され、以降種痘の接種は行われなくなった。その為現在では多くの人が天然痘に対する耐性を持っていない。このような状況で天然痘によるテロが起きた場合、速やかな対処は不可能である。
各国では万が一に備え、天然痘に限らず各種ウィルスに対するワクチンの保管をある程度行っているが、現状では保険的な意味しか持たないものにそこまで予算をかけるわけも当然なく、十分な数が確保されているとはいえない。しかも、天然痘ワクチンには極希に重い副作用が起こる場合もあり、万が一のために再び種痘接種を義務化することは好ましくない。
現在、ウイルスの遺伝子を組み換え、特定の細胞だけを感染・
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させる研究が特にがん治療の分野で行われている。この技術を応用すれば、人工的に抗ウイルス剤の効かない薬剤耐性ウイルス、又、人がまったく免疫をもたない(現在の鳥インフルエンザH5N1のように)ウイルスの開発が可能である。テロ目的の遺伝子組み換えウイルスの開発・研究は禁止されていても、これを監視するシステムはすべての研究機関にあるとは限らず、世界のどこかで、いつこのような開発が起きていてもおかしくはないのが現状である。また、当然この人工ウイルスに対するワクチンは存在せず(テロリスト(開発者)自身は所持している可能性が高い)、流行してから初めてワクチンの開発が可能になるため、ワクチンができるまで早くても3?6ヶ月というのが現状であり、国民全員分を用意するには、さらに時間がかかるため、多数の死者が出されると思われる。即席爆発装置(そくせきばくはつそうち、IED、Improvised Explosive Device)とは、あり合せの爆発物と起爆装置等で作られた正規の兵器でない簡易手製爆弾の総称である。
道路脇などに仕掛けられたIEDを一般に路肩爆弾、道路脇爆弾、路上爆弾(Roadside bomb)などと呼んでいる。基本的には正規の軍隊が使用する爆弾と異なり、独自に作成する爆弾でもあることから”home made explosives(HME)”とも表現される。
アメリカ軍などは車両に搭載・設置されたIEDの事をVBIED(Vehicle Borne IED / 車両運搬式即席爆発装置)と呼んでいるが、一般的にはCar Bombと呼ばれており、日本では車爆弾または自動車爆弾と呼ばれている。
近年ではイラク、アフガニスタンでの反米武装勢力により頻繁に使用され、メディアを通じて特に知られるようになる。
元々は第二次世界大戦でベラルーシの反ナチスゲリラが使用した事が発端とされる。以後は特定のゲリラや反政府勢力にも使われたが、"home made explosives"と表現されるように、材料は主には日常生活で手に入る資材や部材で造る事が出来る。
そして近年においてはアフガニスタンやイラクで反米組織や反政府組織を中心に多用されるようになり、アメリカ軍に対し多大な損害を与えている。イラク駐留のアメリカ軍の戦死者の大半はこの、IEDによるものである。
IEDは、その都度有り合わせの材料で製作されるために特定の形状や大きさや特徴などがなく、"Improvised"という言葉自体、“即興”や“アドリブ”と言う意味合いを持つ。各々が独自に持つ知識や資材で製作されるため、そのバリエーションは多種多彩である。小規模なものでは、手榴弾レベルの火薬で製作されるものから、大規模なものでは155mm榴弾砲の砲弾や地雷を幾重にも重ねて、戦車をも破壊できる規模の物まで存在する。
イラクやアフガニスタンではこの手の軍需品レベルの資材が手に入りやすいこともあり、より破壊力の高いIEDが日常的に作成されている。また、一部のものに関しては、爆発物に金属片やボールベアリングなどを仕込み、直接的な爆発でのダメージに加え、それら内蔵物を四方に飛び散らすことにより対人殺傷能力を高めている物も存在する。
別の方面では、
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に似た形状を持つIEDも確認されており、「爆発成形貫通体」(Explosively formed penetrator)と呼ばれている。こちらは対人攻撃性は高くないが、戦車やハンヴィー、MRAPのような車両には有効であると見られている。
起爆手段としては、従来のワイヤーを張り巡らせてそれに対象物が触れた時点で爆発する物や、一般的なガレージのシャッターの開け閉め用の物や日常の家電製品に使用されるリモコンや携帯電話などが使用される。イスラム過激派組織がネット上で公開している「ジハード・ビデオ」の多くにこの手段が使用されていると見てとれる。 そのカムフラージュも巧妙化し、当初は地面に埋めたり物陰に隠す程度だったものが、現在では動物の死骸の下や路上に投棄された車両に仕込むケースが目立つ。対人や対車両だけでなく、戦車や重装甲車に対しても時間差で起爆するものも存在し、駐留軍に大きな打撃を与えている。
IEDは直接駐留軍に打撃を与えているだけでなく、
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や補給路に大しても多大なダメージを与えている。特に、クェート〜バクダッド間の幹線道路での補給路では多用されており、民間軍事会社に委託されたコンボイ輸送部隊に多大な影響を与えている。路肩爆弾と呼ばれる固定式IEDは罠の一種であり、敵が仕掛けない限り発見は困難な場合が多い。
仕掛け爆弾として使用されるIEDは固定式のトラップであるため、その位置が露見してしまえば迂回できる。よって情報収集や探知機器、動物などを使用して早期探知に努めるのが一番の対抗策である。
イラク駐留米軍・有志連合軍は、2007年現在もIEDを使った攻撃に曝され続けており、有効な対抗策を模索し続けている。IED攻撃にさらされはじめた駐留初期から行なっていて2007年末も進行中の対抗策として、防護性能の高い装甲車両の購入が挙げられる。米軍では実戦経験の多い南アフリカ軍の兵器会社から地雷やIEDに対して防護性能の高い「キャスパー」「マンバ」といった装甲車両を購入したり、英軍では米フォース・プロテクション社の「マスティフ」「ヴェクター」を購入したりしている。
また、ハンヴィーで知られるアメリカの高機動車両の全面的な見直しや、以前は前面に対してのみ装甲を強化していた戦車の防御面での見直しを再検討させる大きな要因にもなった(→MRAPを参照)。
米海兵隊の『IED DETONATOR』
IEDの無力化や除去に使われる米軍ではIEDを科学的に探知出来るシステムの開発を行なっている段階であるが、そういった新技術の完成を待たずに現在ある技術による対抗策も模索されている。携帯電話を使用した手作りの遠隔起爆装置があるため、携帯電話の電波帯に対する強力な妨害電波発信機をハンヴィーなどの輸送車列の護衛車両に搭載している。しかし不発であれば再度の使用機会を待てばよいゲリラ側の有利さに対しては決定打とはなっていないようである。有線での爆破や、振動や接触、時間により爆発するものにとっては電波妨害は無意味である。
一方、駐留軍の電波妨害による生活環境の悪化が地元住民の不満となる。強力な電波を放射することで起爆装置を無効にする技術も開発されたが、その後のIED被害が減ったというニュースはない。「ありあわせ」で作られるものであるため、起爆装置にも千差万別があるためである。
イラクやアフガニスタンで爆発物の疑いがある場合には、真偽を確かめる前に射撃によって解決を図るが、米国内でのテロ対策では、爆発物やその疑いがある場合の処理にロボットを使用する。爆発物撤去の際に爆発してしまうことも少なくないが、遠隔操作ロボットを失う経済的損失だけで人命を失うことはない。